残業は1分単位で管理しなければならないのか
スシローに中央労基署が是正勧告 労働時間5分未満を切り捨て未払い | 毎日新聞 (mainichi.jp)
回転ずし大手のスシローを運営する「あきんどスシロー」(大阪府吹田市)が、東京都内の店で働く男性アルバイトの5分未満の労働時間を切り捨て賃金を支払っていないとして、中央労働基準監督署から是正勧告を受けた。男性が所属する労働組合などの話で明らかになった。労働基準法では労働時間は1分単位で計算するのが原則と解釈されている。
男性が所属する労組の首都圏青年ユニオンなどによると、是正勧告は同社の「スシローヤエチカ店」(東京都中央区)に対し、2023年12月25日に出された。同店で長年働いている男性アルバイトが、過去に5分未満の労働時間を切り捨てられていたとして、労組の団体交渉などで是正を求めたが、話し合いがつかず、未払いの是正を求め23年7月に労基署に申告していた。申告は20年4月~22年8月までの分。同年9月以降は1分単位の労働時間計算に切り替わっており、時効にかからない過去分について請求した。同社の公開情報によると、従業員は正社員が1731人、パート・アルバイトは4万6138人いるとされており、過去の切り捨て分が全員に支払われれば、相当な額になるとみられる。
残業時間の適な管理
残業時間を5分単位で管理するリスクについて、残業時間を5分単位で管理するということは、5分未満の残業時間を切り捨てるということですが、これは法律違反になる可能性が大きいです。
今回の是正勧告で、「労働者の労働時間は1分単位で数えるものである」とされましたが、これは労働基準法第24条に「使用者は労働者に対して、労働条件通知書や就業規則などで定められた賃金を、労働者の労働に対して完全に支払わなければなならい」とある為です。明確に「1分単位」とはどこにも記載はされていません。この論法だと本来は「1秒単位」で支払うのが原則なのではないかとも考えてしまいます。つまり何が言いたいかと言えば、人間は機械ではないので少々の「あそび」というか「アロワンス」は必要なのではないかという事です。
とはいえ、実質実態として5分未満の残業時間を切り捨てると労働者の不利益になるという行政判断があり。使用者は以下のようなリスクを負う可能性があります
- 労働基準監督署からの是正勧告や罰則
- 不払いの残業代の遡及支払い命令
- 従業員からの訴訟や損害賠償請求
- 企業イメージの低下や採用難
残業時間を適正に把握するためには、勤怠管理システムの導入や就業規則の整備、長時間労働の是正などの対策が必要ですので専門家である社会保険労務士までご相談下さい。