宮城県最低賃金推移から考える
最低賃金上げ、中小経営に重し 持続へ価格転嫁と生産性カギ(時事通信) – Yahoo!ニュース
上記のグラフからわかるようにここ3年間で最低賃金の上昇率が急激になっています。果たして企業はどのようにこの最低賃金の上昇に対応すればいいのでしょうか。
企業が急激な最低賃金の上昇に対応する方法:詳細かつ具体的な対策
急激な最低賃金の上昇は、企業にとって大きな経営課題となります。人件費の増加は避けられないため、その影響を最小限に抑え、企業の持続的な成長を図るための対策が求められます。
人件費構造の見直し
賃金体系の改革
- 業種によりますが、固定給と変動給の割合を見直し、実績(成果)主義を導入することで、人件費の増加を抑えつつ、従業員のモチベーション向上を図ります。職務分析・職務評価を導入して仕事の棚卸をすることも必要かもしれません。いずれにせよ昔からの日本型雇用制度(年功序列、終身雇用制度)は終わりを迎えるはずです。
- 時間給から月給制への移行も検討し、従業員の安定感向上と、企業側の労働力管理の効率化を両立させます。月給制へ移行する場合にも、従事する仕事の分析は必ず必要になると考えます。
手当の見直し
- 残業手当、通勤手当など、各種手当の見直しを行い、無駄な支出を削減します。
- 生産性向上に繋がる手当を設けることで、従業員のモチベーションを高め、生産性の向上を促します。まずは現在の賃金制度を大きく見直すことになります。
福利厚生の見直し
- 福利厚生の内容を見直し、従業員にとって魅力的な福利厚生を維持しつつコスト削減を図ります。
生産性向上
業務効率化
- 業務プロセスを見直し、無駄な作業を削減し、業務効率化を図ります。
- ITツールの導入や、RPAの活用など、デジタル化を進めることで、業務の自動化を推進し、生産性を向上させます。
人材育成
従業員のスキルアップを図るための研修プログラムを実施し、従業員の能力向上を図ります。
OJT(On the Job Training)を積極的に行い、現場での実践的なスキル習得を促進します。
設備投資
新しい設備や技術の導入により、生産性を向上させ、人件費の増加を吸収します。
経営体質の強化
価格の見直し
- 製品やサービスの価格の見直しを行い、適正な価格設定を行うことで、利益率の向上を図ります。
- 新規顧客の開拓や、既存顧客への付加価値の高いサービスの提供など、売上向上策を検討します。
コスト削減
- 物件費、光熱費など、固定費の見直しを行い、コスト削減を図ります。
- サプライチェーンの見直しを行い、仕入れ価格の交渉や、新たなサプライヤーとの契約など、コスト削減の機会を探します。
資金調達
- 銀行からの借入や、投資家からの資金調達など、必要な資金を確保します。
- 助成金や補助金制度を活用することで、資金調達の負担を軽減します。
人事制度の改革
多様な働き方の導入
テレワーク、フレックスタイム制など、多様な働き方を導入することで、人件費の増加を抑えつつ、従業員の満足度向上を図ります。
パート・アルバイトの活用
業務内容や人員配置の見直しを行い、パート・アルバイトの活用を検討します。
人材の流動化:
成長が見込めない事業からの撤退や、人員の配置転換など、人材の流動化を促進します。
外部支援の活用
専門家への相談
社労士など、専門家への相談を行い、適切なアドバイスを受けることが重要です。
国の支援制度の活用
中小企業庁などが提供している、経営改善支援策などを活用することで、経営の安定化を図ります。
アメリカの最低賃金上昇に対する企業の対応
州ごとの対応
カリフォルニア州
最低賃金が全国で最も高く、企業は人件費上昇への対応を迫られています。自動化の導入や、高付加価値なサービスへのシフトなど、さまざまな対策が取られています。
ニューヨーク州
カリフォルニア州に次いで最低賃金が高く、小売業や飲食業を中心に人件費上昇の影響が顕著です。営業時間の短縮や、メニュー価格の見直しなどが行われています。
共通の対応策
自動化の導入
人手不足や人件費上昇に対応するため、レジの自動化、注文受付のタブレット化など、自動化が進んでいます。
メニューの価格改定
飲食店を中心に、メニューの価格を見直すことで、人件費上昇を吸収しようとする動きが見られます。
営業時間の短縮: 人件費削減のため、営業時間の短縮や、曜日ごとの営業日数の削減を行う企業も増えています。
人員配置の見直し
パートタイム労働者の活用や、フルタイム労働者への働きかけによる時間短縮など、人員配置の見直しが行われています。
福利厚生の見直し
医療保険や退職金制度など、従業員向けの福利厚生を見直し、コスト削減を図る企業もいます。
価格転嫁
最終的には、人件費上昇分を製品やサービスの価格に転嫁せざるを得ないケースも少なくありません。
アメリカにおける最低賃金上昇に対する企業の対応は、日本企業にとっても参考になる点が多くあります。それぞれの企業の状況に合わせて、最適な対策を検討していくことが重要です。かつて経験したことのない最低賃金の上昇に備える為にも、専門家である社労士を活用することが重要と考えます。賃金制度については仙台の社労士 社会保険労務士法人ブレインズまでご相談下さい。