所得税と社会保険の壁を考える
石破総理大臣は、28日から始まる臨時国会での所信表明演説で、複数の重要政策を打ち出す予定です。まず、2025年度の税制改正に向けて「年収103万円の壁」の引き上げを議論し、実現を目指す考えを表明する見通しです。また、来年の春闘において、大幅な賃上げを実現し、今年の33年ぶりの高水準を維持したいとの意向も示します。
税金、社会保険の壁を見直す事も重要ですが、そもそも日本独自の年功序列と終身雇用制度をセットで見直して、生産性の高い労働市場の醸成が必要と考えます。そもそも急激な賃上げは、特に中小企業や労働集約型産業では、コスト増加が経営を圧迫し、利益率の低下や倒産リスクの増大を招く可能性があります。また、企業がコストを価格に転嫁することで物価が上昇し、インフレーションが進行する恐れがあり、特に生活必需品の価格高騰は消費者の購買力を低下させる懸念があります。さらに、賃金コストを抑えるために雇用削減が進み、失業率が上昇する可能性があります。特に非正規雇用者への影響が大きいとされています。加えて、コスト削減策として労働時間の短縮や条件の厳格化が行われると、労働生産性が低下するリスクがあります。最後に、賃上げが一部の企業や業界に限られる場合、賃金格差が拡大し、社会的不平等や安定の喪失を招く可能性があります。これらを踏まえ、賃上げは段階的に行い、労働生産性の向上と連動させるなど、持続可能な方法で進めることが重要と考えます。