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専業主婦優遇「3号」廃止見送り

第3号被保険者制度ってなに

厚生労働省は、来年の通常国会に提出予定の年金制度改革案で、「第3号被保険者制度(3号)」の廃止を盛り込まない方針を決定。3号は、会社員らに扶養される専業主婦や一部のパート従業員が年金保険料を納めずに基礎年金を受け取れる制度であるが、「年収の壁」を生む要因と批判されている。一方で、直ちに廃止すれば多くの人が不利益を受けるため、議論は次回以降(5年後)に持ち越される見通し。

3号制度は1985年に導入され、加入者は当初約1093万人だったが、共働き世帯の増加により2023年5月時点で約676万人に減少。特に35歳以上の女性に多い。一方で、不公平感や男女の賃金格差を助長するとして、連合や経済界から将来的な廃止を求める声が上がっている。

厚労省は、3号の存続・廃止を巡る議論が収束していない中、当面はパート労働者が厚生年金に加入しやすくなるよう要件を緩和し、3号からの移行を促進する方向性を示した。

3号被保険者制度の概要

第3号被保険者制度(3号)は、日本の公的年金制度において、会社員や公務員などの第2号被保険者に扶養されている配偶者が、年金保険料を自ら納めなくても基礎年金を受け取れる仕組みです。1985年に導入され、当時一般的だったサラリーマン世帯の専業主婦が、自分名義で年金を受け取れるようにすることを目的として設けられました。

現在、3号の主な対象者は専業主婦や年収が一定基準以下のパート労働者です。年収の上限は、配偶者が勤務する企業の規模によって異なり、従業員50人以下の企業では130万円未満、51人以上では106万円未満と定められています。しかし、この「年収の壁」が、パート労働者が収入を抑えて働く一因となり、働き方の制約を生むと批判されています。

また、3号は保険料を支払わずに年金を受け取れる仕組みであるため、共働き世帯や独身者との間で不公平感が指摘されています。さらに、主に女性が対象となることで、男女の役割分担を固定化し、賃金格差や雇用機会の不平等を助長するとの批判もあります。

制度の加入者数は、導入当初の約1093万人から2023年5月時点で約676万人に減少していますが、依然として重要な制度であり続けています。政府は廃止には踏み切らず、5年後以降に本格的な見直しを行う方針を示しています。当面は、パート労働者が厚生年金に加入しやすくなるよう、要件の緩和を進めることで、3号からの移行を促す方向性を取っています。

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