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全企業にカスハラ防止義務

従業員保護へ国が指針

政府は3月11日、カスタマーハラスメント(カスハラ)防止策を全企業に義務付けるとともに、就職活動中の学生へのセクハラ防止策を強化する「労働施策総合推進法」などの改正案 を閣議決定しました。これにより、企業は従業員や就活生を守るための具体的な対策を講じることが義務付けられます。さらに、地方自治体もこの対策の対象となり、公的機関でも同様の取り組みが求められることになります。

この法改正の背景には、顧客や取引先による悪質なクレームや理不尽な要求 が増加し、従業員の精神的負担が深刻化していることがあります。また、就活生が面接の場などで不適切な言動を受ける事例も後を絶たず、若年層のキャリア形成に悪影響を及ぼしています。これらの問題に対処するため、政府は企業に対し、カスハラや就活セクハラに対する明確な防止策を策定・実施することを義務付けることとしました。

カスタマーハラスメント(カスハラ)対策の義務化

(1)カスハラの定義

今回の改正案では、カスハラを以下の3要素 を満たす行為と定義している。

  1. 顧客や取引先、施設利用者などが行う 言動であること。
  2. 社会通念上許容される範囲を超えた 言動であること。
  3. 従業員の就業環境を害する 行為であること。

この定義に基づき、企業は従業員をカスハラから守るための具体的な施策を講じる必要がある。

(2)企業が求められる具体的な対策

政府は今後策定する指針に基づき、企業に以下のような取り組みを義務付ける。

  • 対応方針の明確化: 「カスハラには毅然と対応する」といった社内方針を策定し、従業員と共有する。
  • 相談窓口の設置: カスハラ被害を受けた従業員が相談できる窓口を設ける。
  • 被害時の対応マニュアルの作成: どのように対応すべきかを具体的に示したガイドラインを作成する。
  • 研修や教育の実施: 従業員にカスハラ対応の知識を提供し、冷静に対応できるよう訓練する。

(3)具体的なカスハラ事例

以下のような行為がカスハラに該当する可能性がある。

① 過剰なクレームや威圧的行為

  • 飲食店で、店員の些細なミスを理由に土下座を強要する
  • スーパーで、レジの対応が気に入らないとして長時間にわたり怒鳴り続ける
  • コールセンターで、特定の担当者を指名し何度も謝罪を要求する

② 不当な要求

  • 「お客様は神様だ」として、無理な割引や無料サービスを強要する
  • 宿泊施設で「部屋が気に入らない」と言いがかりをつけ、無料宿泊を要求する
  • 取引先が、合理的な理由もなく「工期を短縮しろ」と強要する。

③ 人格否定や差別的発言

  • 「こんな簡単なこともできないのか、無能だ」と暴言を吐く。
  • 「外国人の従業員は信用できない、別の人を出せ」と差別的な要求をする。
  • 「女性にこの仕事は無理だろう」など、性別に基づいた偏見を押し付ける。

今回の法改正により、企業は従業員や就活生をハラスメントから守るための具体的な対策を講じることが義務化されます。違反企業には国からの指導・勧告が行われ、従わない場合は企業名が公表される可能性がありますのでご注意下さい。

ハラスメントについてのセミナーご依頼は仙台の社労士 社会保険労務士法人ブレインズまでご相談下さい。

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