アメリカには公的な産休・育休の給付金制度はありません
メジャーリーグでは2011年に「父親リスト(Paternity Leave List)」という制度ができ、選手が自分の子どもが生まれるときなどに最短1日、最長3日まで育児休暇を取れるようになりました。給料は通常通り支払われます。導入当初は「なぜ試合を休むのか」といった批判もありましたが、今では多くの選手が利用しており、当たり前のこととされています。日本人選手のダルビッシュ有や鈴木誠也もこの制度を利用しました。最近ではレッドソックスのアレックス・ブレグマンや大谷翔平も父親リスト入りし、アメリカでも日本でも「素晴らしい制度」「世界一の選手ですら休む」といった好意的な反応が広がっていますが、アメリカの公的な育休制度はどうなっているのでしょうか。
アメリカ連邦法における産休・育休について
アメリカでは、産休や育休に関する基本的なルールは「家族医療休暇法(FMLA)」という連邦法で定められています。この法律によって、出産や育児、家族の看護などを理由に、年間で最大12週間の休暇を取ることが認められています。ただし、このFMLAは無給休暇であり、国からの給付や補償はありません。つまり、休んでいる間は給料も、国からの手当も基本的には出ないのです。
ただし、FMLAの特徴は、休暇を取っても仕事を失わずに済むという点にあります。休みが終われば、元の職場や同等のポジションに復帰できる権利が法律で守られていますし、休暇中も健康保険などの福利厚生は維持されます(従業員が保険料を払い続ける必要はあります)。一方で、州によっては公的な補償制度を設けているところもあります。例えば、カリフォルニア州、ニューヨーク州、ニュージャージー州などでは、州の制度を通じて育児や出産に関する休暇中に給料の一部が支給される場合があります。これらは「州の有給家族休暇制度(Paid Family Leave)」と呼ばれ、失業保険のような仕組みで成り立っています。つまり、対象の人は、一定の割合の給料を公的に受け取りながら育休を取ることができます。
近年では企業が独自に有給の育休制度を用意していることも増えてきています。特に大手企業では、連邦法よりも手厚い育児支援が整っており、男性も女性も育休を取得しやすい環境が少しずつ広がっています。
大谷選手の報道で、一見アメリカの育休制度が先進的に見えますが、実は日本の育休制度のほうが労働者にとって優しく整備されています。
育児にともなう助成金等の相談は仙台の社労士 社会保険労務士法人ブレインズまでご相談下さい。