週休3日制が広がる背景

「週休3日制」という言葉を耳にする機会が増えてきました。人口減少による人材不足や、家庭や趣味と仕事を両立したいという価値観の変化が背景にあります。週休3日制を導入すると、従業員は自由な時間を増やすことができ、企業にとっても「働きやすい職場」として注目されることで採用力が高まります。特に人材競争が激しい仙台や東京のような都市部では、週休3日制をアピールポイントにすることで応募数が一気に増える例も見られるようになりました。

導入事例

医療法人Aクリニック

医療法人Aクリニックでは、スタッフの定着率が課題でした。看護師や受付スタッフは家庭との両立が難しく、離職が続いていたのです。そこで院長は思い切って週休3日制を導入しました。1日の勤務時間を長めに設定し、週4日勤務とした結果、応募数は増え、子育て世代のスタッフも働きやすさを実感。離職率は大きく改善しました。

物流会社B社

東京虎ノ門にある物流会社B社は、ドライバー不足に悩んでいました。長時間労働が当たり前になっていたため、求人を出しても応募が集まらなかったのです。そこで同社は週休3日制に踏み切り、1日9時間半働く代わりに3日の休みを保障する仕組みを整えました。導入後は応募者が増え、社員の健康面にもプラスの効果が出ています。さらに採用コストも下がり、会社にとっても良い成果となりました。

制度導入の課題と社労士の役割

週休3日制には大きなメリットがありますが、導入する際には注意が必要です。たとえば、勤務日数が減る分の給与をどう扱うか、1日の労働時間を延長する場合の就業規則の変更はどうするかなど、制度の設計を誤るとトラブルの原因になります。こうした調整には専門的な知識が必要であり、社労士がサポートすることで、法的に適正かつ現実的な仕組みを整えることができます。

助成金を使った導入支援

週休3日制を導入する際には、国や自治体の助成金をうまく活用することで費用負担を抑えることが可能です。たとえば「業務改善助成金」では、最低賃金引き上げとあわせて職場環境を改善する事業者に対し、システム導入や設備投資にかかる費用の最大3/4（上限600万円）が補助されます。また「働き方改革推進支援助成金」は、労働時間の短縮や勤務制度の見直しを行う中小企業に対して、システム導入などに最大150万円を支給する制度です。

新しい働き方の選択肢として

医療法人や物流会社の事例が示すように、週休3日制は「採用力の向上」と「定着率の改善」に直結する制度です。導入にあたっては就業規則の見直しや賃金制度の整理といった準備が欠かせませんが、助成金を活用することでハードルを下げることもできます。週休3日制は、これからの時代に「選ばれる企業」となるための重要な施策です。制度設計や助成金申請を含めて、専門家である社労士と一緒に取り組むことが、成功への第一歩となるでしょう。