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経団連103社の賃上げ5.46%は「大企業の数字」

【速報】ことしの春闘 大手企業の賃上げ額平均1万9964円で過去最高に 率は5.46% 経団連集計(TBS NEWS DIG Powered by JNN) – Yahoo!ニュース

経団連103社の賃上げ率5.46%は、日本企業全体の平均ではない

経団連が発表した2026年春季労使交渉の第1回集計では、大手企業103社の月例賃金の引き上げ額は平均1万9,964円、賃上げ率は5.46%となりました。金額としては非常に大きく、報道だけを見ると「世の中全体で大幅な賃上げが進んでいる」という印象を受けるかもしれませんが、この103社が「日本企業全体」を代表しているわけではありません。経団連の調査対象は、原則として従業員500人以上の主要23業種大手248社です。今回の集計は、そのうち回答を把握した153社から、平均金額不明などの50社を除いた103社を対象としています。つまり、これはあくまで大手企業の春闘回答の集計です。大企業は、資本力、価格交渉力、人材確保への投資余力、労働組合との交渉体制などの面で、中小企業とは前提条件が大きく異なります。もちろん大企業であっても経営環境が厳しい会社はありますが、少なくとも今回の数字をそのまま中小零細企業に当てはめることはできません。

中小零細企業にとって同水準の賃上げは極めて厳しい

一方で、中小企業・小規模企業の実態を見ると、賃上げの難しさは明らかです。日本商工会議所・東京商工会議所の調査では、2025年度に「賃上げを実施予定含む」と回答した中小企業は全体で69.6%でしたが、20人以下の小規模企業では57.7%にとどまっています。また、小規模企業では「現時点では未定」とする回答も31.9%に上っています。正社員の賃上げ率を見ても、中小企業全体では4.03%、20人以下の小規模企業では3.54%です。賃上げ額では、中小企業全体が月額1万1,074円、20人以下の小規模企業が9,568円となっており、大手企業の1万9,964円・5.46%とは大きな開きがあります。さらに重要なのは、中小企業の賃上げが必ずしも「業績が好調だから実施している」わけではないという点です。同調査では、賃上げ実施企業のうち、業績改善を伴わないいわゆる「防衛的な賃上げ」も多く、人材確保や物価上昇への対応として、やむを得ず賃上げしている企業が少なくありません。

報道は「平均値」だけでなく、母集団を正確に伝えるべき

今回のようなニュースでは、「賃上げ率5.46%」「過去最高」といった見出しが先行しがちです。しかし、社労士の立場から見ると、平均値だけを強調する報道には注意が必要です。この数字は、大企業の中でも一定の回答が集計できた103社の数字です。中小企業、零細企業、地方企業、医療・介護、飲食、小売、運送など、価格転嫁が難しく人件費負担が重い業種の実態とは異なります。報道機関には、賃上げ率や平均額だけを大きく取り上げるのではなく、「この数字は従業員500人以上の大手企業を中心とした集計である」という前提を明確に伝える責任があります。あわせて、従業員50名未満、20名以下といった小規模企業の賃上げ状況、賃上げできない理由、価格転嫁の実態も丁寧に調査・報道すべきです。「世の中はすさまじく賃上げしている」という印象だけが広がると、中小零細企業の経営者は過度なプレッシャーを受け、従業員側にも現実とのギャップが生まれます。賃上げは必要です。しかし、原資のない賃上げは、最終的に雇用の維持や事業継続を危うくする可能性もあります。

「賃上げできる会社」と「賃上げしたくてもできない会社」を分けて考える必要がある

ここで強調したいのは、「中小企業は賃上げしなくてよい」という話ではありません。人材確保、離職防止、最低賃金対応、物価上昇への配慮を考えれば、中小企業にとっても賃上げは避けて通れない課題です。ただし、中小零細企業の場合は、大企業の春闘相場をそのまま追いかけるのではなく、自社の利益率、価格転嫁の状況、人件費率、採用難易度、最低賃金の上昇見込みを踏まえたうえで、「継続できる賃上げ」を設計する必要があります。そのためには、単に基本給を上げるだけでなく、賃金テーブルの見直し、評価制度の整備、手当の整理、生産性向上、業務改善、価格改定、人員配置の見直しを一体で進めることが重要です。今回の経団連103社の数字は、大企業の賃上げ動向を知るうえでは重要な指標です。しかし、それをもって「日本全体が5%超の賃上げを当然に実現できる」と受け止めるのは危険です。報道も企業も、平均値のインパクトだけでなく、その背後にある企業規模の違い、収益力の違い、価格転嫁力の違いに目を向ける必要があると考えます。

賃上げの相談は仙台・東京港区の社労士 社会保険労務士法人ブレインズまでご相談下さい。

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