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【2026年】宮城県のクリニック最低賃金は1,094円へ|ベースアップ評価料で賃上げは足りるのか

2026年7月28日、中央最低賃金審議会から2026年度の地域別最低賃金引上げ額の目安が示されました。宮城県の引上げ目安は56円です。目安どおりに改定された場合、現在の時給1,038円から1,094円となる見込みです。改定日は2026年10月上旬と予測されます。厚生労働省・2026年度の引上げ目安

クリニックでは、医療事務や看護補助者など最低賃金に近い職員への対応に加え、ベースアップ評価料の配分、経験者との賃金差、始業前準備や診療終了後の労働時間まで確認する必要があります。

宮城県の最低賃金1,094円で影響を受ける職員

最低賃金は、受付、医療事務、看護補助者、看護師、清掃担当者など、クリニックが直接雇用するすべての職員に適用されます。正社員、パート、アルバイトといった雇用区分も問いません。時給者は、現在の時給を1,094円と比較します。月給者は、最低賃金の対象となる月額賃金に12か月を掛け、年間所定労働時間で割って時間額を算出します。最低賃金との比較に含める主な賃金は、基本給、職務手当、資格手当、毎月固定で支給するベースアップ手当です。通勤手当、家族手当、精皆勤手当、賞与、時間外・休日・深夜の割増賃金は除外します。例えば、月平均所定労働時間が160時間の場合、最低賃金の対象となる月額賃金は17万5,040円以上必要です。総支給額がこの金額を上回っていても、通勤手当や固定残業代を除いた賃金が17万5,040円を下回れば、最低賃金に抵触します。最低賃金の月給換算方法

2026年度ベースアップ評価料の最新内容

2026年度の診療報酬改定では、ベースアップ評価料により、対象職員は3.2%、看護補助者・事務職員は5.7%の賃上げを目指す仕組みが設けられました。2027年度は、さらに3.2%、看護補助者・事務職員はさらに5.7%の賃上げを目指す設計です。この割合は、職員一人ひとりに一律の昇給を求める基準ではなく、ベースアップ評価料の原資を算出するための賃上げ目標です。クリニックが各職員を必ず3.2%または5.7%昇給させるという意味ではありません。対象職員も拡大されました。従来の看護師、薬剤師、看護補助者などに加え、事務職員や40歳未満の医師・歯科医師なども対象に含まれます。一方、40歳以上の医師・歯科医師、業務委託により勤務する者、経営者、法人役員は対象外です。個人クリニックの院長や医療法人の理事長・理事も、経営者・役員に該当する場合は対象に含まれません。40歳未満の医師・歯科医師については、賃金改善算定基礎額の計算上、常勤者と週22時間以上勤務する非常勤者を人数に応じて算定します。ベースアップ評価料による収入は、基本給または毎月決まって支給する手当の引上げと、それに連動して増加する賞与、時間外手当、法定福利費の事業主負担分などに充てます。定期昇給は、年齢や勤続年数の上昇に伴う昇給であるため、ベースアップとは区分して管理する必要があります。厚生労働省・2026年度ベースアップ評価料

最低賃金とベースアップ評価料は計算基準が異なる

宮城県の最低賃金が1,038円から1,094円となった場合、引上げ率は約5.4%です。一方、ベースアップ評価料の賃上げ目標は、対象職員が3.2%、看護補助者・事務職員が5.7%です。単純に1,038円を3.2%引き上げても約1,071円にとどまり、1,094円には届きません。看護補助者・事務職員の5.7%を当てはめると約1,097円になりますが、5.7%は個人ごとの昇給率ではなく、評価料の算定に用いる目標です。そのため、ベースアップ評価料の届出や賃金改善計画とは別に、職員一人ひとりの最低賃金を確認する必要があります。評価料の収入が不足しても、最低賃金1,094円までの差額はクリニックが負担します。最低賃金への対応として基本給を引き上げる方法のほか、毎月固定のベースアップ手当を増額する方法も考えられます。毎月固定で支給するベースアップ手当は、最低賃金の比較対象に含めることができ、評価料における基本給等の賃金改善としても整理できます。パート職員は、勤務時間によって毎月の手当額が変わる設計より、時給そのものを引き上げる方が最低賃金の確認や給与計算が明確になります。月給者は、基本給とベースアップ手当を合算した時間額を確認します。最低賃金に近い職員だけを引き上げると、経験者との賃金差が縮小します。新しく採用する未経験の医療事務が1,094円、勤続5年の医療事務が1,100円であれば、差は6円です。職務経験、レセプト対応、後輩指導などの役割が賃金に反映されず、既存職員の不満や離職につながる可能性があります。

クリニック特有の労働時間管理にも注意する

クリニックでは、雇用契約書に記載した始業・終業時刻と、実際の勤務時間にずれが生じやすい傾向があります。診療開始前の院内清掃、医療機器の準備、電子カルテやレセコンの立ち上げ、予約確認、朝礼などを指示している場合、その時間は労働時間に含まれます。院内で制服への着替えを義務付けている場合も、労働時間に該当する可能性があります。診療終了後の患者対応、会計、レジ締め、カルテ入力、翌日の準備、清掃も労働時間です。診療受付の終了時刻をそのまま職員の終業時刻として給与計算すると、未払い賃金が発生するおそれがあります。午前診療と午後診療の間に長い休憩を設定していても、電話対応、来院者対応、物品の受取りを担当させている場合は、労働から離れているとはいえません。職員が自由に利用できない時間は、休憩ではなく労働時間として扱う可能性があります。参加を義務付けた院内研修、感染対策研修、接遇研修も労働時間です。厚生労働省のガイドラインでは、指示された準備行為、業務終了後の後始末、手待時間、参加を義務付けた研修を労働時間として取り扱う考え方が示されています。厚生労働省・労働時間管理ガイドライン

常時使用する労働者が10人未満のクリニックは、保健衛生業の特例として週44時間までの法定労働時間が認められる場合があります。ただし、1日8時間を超える労働や、適用される週の法定労働時間を超える労働には36協定が必要です。職員数が10人以上になれば、原則として週40時間が適用されます。保健衛生業の週44時間特例

最低賃金改定前にクリニックが行う実務

最初に、職員ごとの基本給、諸手当、年間所定労働時間を整理し、現在の時給換算額を算出します。最低賃金の比較対象から除外する手当を正しく分け、1,094円まで引き上げるために必要な金額を確認します。次に、ベースアップ評価料の年間収入見込みと、対象職員に支給する賃金改善額を比較します。基本給や固定手当を引き上げると、社会保険料の事業主負担、賞与、時間外手当の単価も増加します。評価料の収入額だけでなく、付随する人件費まで試算する必要があります。

ベースアップ評価料の収入は患者数や算定実績によって変動しますが、一度引き上げた基本給や固定手当は継続的な人件費になります。月ごとの評価料収入だけで判断せず、年間収入とクリニックの自己負担額を踏まえて賃金額を決定することが重要です。賃金額を決定した後は、雇用契約書、労働条件通知書、賃金規程、給与計算設定を変更します。常時10人以上の職員を雇用するクリニックで就業規則や賃金規程を変更した場合は、労働者代表の意見書を添えて労働基準監督署へ届け出ます。

2025年度からベースアップ評価料を継続して算定しているクリニックは、2026年8月に2025年度分の実績報告書と2026年度分の中間報告書を確認します。2026年度から新たに算定を始めたクリニックは、算定開始月に応じた2026年度分の報告書を提出します。提出すべき様式は算定開始時期によって異なるため、最新様式の確認が必要です。厚生労働省・報告書の提出案内

最低賃金への対応では、医療事務や看護補助者の賃金を1,094円へ修正するだけでなく、ベースアップ評価料の配分、経験者との賃金差、採用時給、実労働時間、社会保険料まで含めて確認します。最低賃金改定を賃金制度と労務管理を見直す機会として活用することが、採用力の向上と職員定着につながると考えます。

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