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「給料が出せない会社は潰れろ」は暴論だ

「給料が出せない会社は潰れろ」は暴論だ 社労士が見る日本の中小企業と構造的課題

先日、実業家の西村博之(ひろゆき)氏が自身のYouTubeチャンネルで、最低賃金引き上げに関して「給料が出せない会社は潰れてしまえばいい」と発言されました。

ひろゆき氏、最低賃金引き上げをどう思う?でキッパリ「ダメな中小企業は潰れるべき」(スポニチアネックス) – Yahoo!ニュース

最低賃金の引き上げと中小企業の現実

今年、最低賃金は全国平均で1118円と、過去最大の引き上げ幅が示されました。これは労働者の生活を守る上で非常に重要な政策であるかもしれませんが、その影響を真っ先に受けるのが、資金体力の弱い中小企業です。ひろゆき氏のように「払えないなら潰れろ」と一刀両断するのは、あまりに乱暴と思います。

「無能な経営者が経営している」わけではない

日本の中小企業は、ただ「無能な経営者」が経営しているから利益が出ないのではありません。多くの中小企業は、大企業からの重層的な下請け構造の中で、価格決定権を持たないまま仕事を請け負っています。例えば、材料費が高騰しても、納入価格を上げられない。取引先からの一方的な納期・仕様変更に応じなければならない。そういった「構造的に不利な立場」でありながらも、地域の雇用を守り、真摯に事業を続けているのが実態です。

構造が変わらなければ、優秀な人材も埋もれる

ひろゆき氏は「最低賃金も出せない会社では、いくら優秀でも時給が上がらない」と指摘しますが、これは逆です。最低賃金すら満足に払えない状況にある中小企業は、むしろ人材不足のなかで「どうすれば人を守れるか」「どうすれば育てられるか」と真剣に悩み、努力しています。構造的に搾取される仕組みの中で、たとえ優秀な人材を雇っても、適正な対価を払うための利益が確保できない。このジレンマに直面しているのです。

経営者は挑戦している

私は社労士として、数多くの中小企業経営者と向き合ってきました。資金繰りに悩みながらも、従業員の雇用を守り、制度を活用し、少しでも環境を改善しようと努力している経営者が大多数です。「経営者が無能」ではなく、「構造が不公正」なのです。

今、必要なのは中小企業への支援

今こそ国や大企業が、本気で中小企業の構造改善に取り組むべき時と考えます。価格交渉力のある環境づくり、取引の透明化、支援制度の拡充。中小企業が「きちんと儲けて、きちんと給料を払える」構造に変えていくことが、持続可能な賃上げの鍵です。そして、そうした構造に抗いながらも、地域や社員を守るために奔走している中小企業経営者を、私は、社会保険労務士として全力で応援していきます。

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