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勤務時間の過少申告は「自己防衛」ではない

社労士の立場から伝えたい現実

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教員3割が過少申告経験 勤務時間、日教組調査(共同通信)のコメント一覧 – Yahoo!ニュース

公立学校の教職員の3人に1人が勤務時間を実際より短く申告した経験がある。13日に公表された日本教職員組合(日教組)の調査結果を読み、私は社会保険労務士として、そして医療現場を知る立場として、強い危機感を覚えました。調査では、直近1年間の勤務時間申告について「いつも短く記録していた」「短く記録したことがある」と回答した人が計33.2%に上っています。理由として挙げられたのは、「医師面談が面倒」「管理職に指摘される」といった声でした。数字だけを見ると深刻ですが、医療現場を見てきた感覚からすると、「むしろ3割で済んでいるのか」というのが率直な印象でもあります。

社労士として最も警鐘を鳴らしたい「法的リスク」

社会保険労務士の立場から、ここで最も強くお伝えしたいのは、勤務時間の過少申告は、将来にわたって本人を不利にする行為であるという点です。過労死、脳・心疾患、精神障害などが発生した場合、公務災害や労災認定では、客観的な勤務時間記録が極めて重視されます。実態としてどれだけ働いていても、記録に残っていなければ「働いていなかった」と扱われるリスクがあります。これは理屈の問題ではなく、実務上、実際に起きている現実です。「正直に書くと面談が増えて忙しくなるから」という理由での過少申告は、短期的には自己防衛に見えても、長期的には最大の自己リスクになります。万一のとき、その不利益を被るのは、本人だけでなく家族です。

働き方改革は「正確な記録」なしには成立しない

「業務削減なしに勤務時間管理を進めれば悪化する」。社労士としても、この認識には全面的に同意します。ただし、業務削減や制度改善を求めるためには、正確な労働時間の把握が前提条件です。過少申告が常態化した状態では、「長時間労働は改善している」「問題は縮小している」という誤ったメッセージだけが上に伝わり、改革の根拠そのものが失われてしまいます。教員の皆さんは、児童生徒に対して「正直であること」を教えておられるはずです。その価値観は、ご自身の働き方においても、ぜひ貫いていただきたいと思います。正直な勤務時間申告は、わがままでも、自己中心的でもありません。それは、法制度に基づき自分と家族を守り、働き方改革を現実のものにするための最も基本的な行動ではないかと思っています。

仙台・東京虎ノ門の社労士 社会保険労務士法人ブレインズ

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