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【有効求人倍率1.22倍に低下】それでも人手不足が解消したとは言えない理由

2025年の平均の有効求人倍率「1.22倍」 前年より0.03ポイント減少 2年連続のマイナス 物価や人件費高騰などが影響 厚生労働省(TBS NEWS DIG Powered by JNN) – Yahoo!ニュース

2025年の平均有効求人倍率は1.22倍となり、前年から0.03ポイント低下しました。2年連続のマイナスです。厚生労働省は、物価や人件費の高騰により、企業が求人を出す余力を失っていることが背景にあると説明しています。特に卸売業・小売業、宿泊業・飲食サービス業で求人が落ち込んでおり、セルフレジ導入など省人化の進展も影響しているとされています。一見すると、人手不足が緩和しているようにも見える数字ですが、実務の現場感覚とは必ずしも一致していません。

有効求人倍率が示すものと示さなくなったもの

有効求人倍率は、ハローワークに登録された求人と求職者を基に算出される指標です。しかし現在の採用実務では、民間の人材紹介会社や求人サイト、ダイレクトリクルーティングなど、ハローワークを介さないマッチングが主流となっています。その結果、有効求人倍率は労働需給の一部しか捉えられなくなっています。景気動向指数の一致系列に採用されている指標でありながら、他の一致指標が改善する中で、有効求人倍率だけが悪化を続けている点も、この統計の限界を示しています。数字だけを見て労働市場全体や景気動向を判断することには、慎重さが求められます。

数字の裏で進む「人手不足の固定化」

有効求人倍率が低下している背景を現場目線で見ると、必ずしも人手不足が解消した結果とは言えません。求人を出しても人が集まらない状況が続く中で、企業が採用を諦め、欠員を抱えたまま事業を回しているケースが増えています。省人化投資や既存社員への業務集中によって対応しているものの、これは人手不足が解消した状態とは言えません。また、労働市場の二極化も進んでいます。条件の良い企業や職種には人が集まり、実質的な倍率は下がる一方で、人が集まらない業界や職種では慢性的な欠員が続いています。有効求人倍率は平均値であるため、こうした偏りを覆い隠し、現場の深刻さを十分に反映できていません。

社労士の視点から見るこれからの企業対応

さらに見逃せないのが、供給側の構造変化です。高齢者、女性、外国人労働者に依存してきた業界では、働き方や処遇設計が時代に追いつかず、潜在的な労働力が市場に出てきません。人がいないのではなく、現在の条件では働く選択肢として選ばれていないという側面が強まっています。このような状況において、有効求人倍率の低下をもって人手不足が解消したと判断するのは危険です。今後は、採用が容易でないことを前提とした労務管理、限られた人員で業務を回す体制整備、そして人材の定着と戦力化に本気で取り組めているかどうかが、企業経営の持続性を左右します。有効求人倍率という単一の指標だけで判断する時代は、すでに終わりつつあると言えるでしょう。

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