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障害者雇用率2.7%引き上げに「半数超が困難」とする今回の報道

障害雇用、52.6%達成困難 企業調査、環境整備が課題(共同通信) – Yahoo!ニュース

26日、障害者雇用支援事業を行うパーソルダイバースの調査として、今年7月に予定されている障害者の法定雇用率2.7%への引き上げについて、企業の52.6%が「困難」「やや困難」と回答したことが報じられました。「困難」が19.2%、「やや困難」が33.4%という数字は、企業の半数以上が制度対応に強い不安を抱えている現状を示しています。一方で、「既に達成している」は21.2%、「達成見込み」は26.2%にとどまり、企業間で対応状況に大きな差があることも明らかになりました。この報道は、障害者雇用が進んでいないという単純な話ではなく、制度が求める水準と現場の実務能力との間に、無視できないギャップが生じていることを示しています。

社労士の立場から見える「現場が詰まり始めている」実態

社労士として日常的に企業の労務相談に向き合っていると、今回の調査結果は決して意外なものではありません。多くの企業は、障害者雇用に消極的なのではなく、「これ以上どうすればいいのか分からない」という段階に来ています。現場で問題になるのは、採用そのものよりも、その後の配置、業務設計、指導体制、合理的配慮の継続です。特に中小企業では、業務の切り出しが難しく、指導担当者も限られています。一人雇用すれば組織全体の業務配分が変わることも珍しくありません。雇用率が0.2ポイント上がるという数字の裏で、企業側には確実に「もう一人分の現実的な負担」が発生しています。それでも制度上は、達成できなければ納付金を支払うという形で、事実上の制裁が課されます。社労士として感じるのは、企業が「障害者雇用をどう定着させるか」ではなく、「雇用率をどうやって帳尻合わせするか」という思考に追い込まれつつある危うさです。

雇用率が一方的に上がり続ける制度運用への強い懸念

今回の報道を受けて、社労士として最も懸念するのは、雇用率が「結果指標」ではなく「強制目標」として独り歩きしている点です。本来、障害者雇用は、本人にとっても企業にとっても、無理のない形で長く続くことが最優先されるべきです。しかし、雇用率が段階的に引き上げられ続ける現状では、企業は中身よりも数を優先せざるを得ません。その結果、短時間雇用や補助的業務への固定化、キャリアの見通しが立たない配置が増えるリスクがあります。これは、障害者の就労の質を高めるという制度本来の目的とも整合しません。今回の「半数超が困難」という調査結果は、企業の努力不足を示すものではなく、制度運用が現場の限界に近づいているというサインだと受け止めるべきです。雇用率をさらに引き上げる前に、業種・規模ごとの実態を踏まえた議論と、受け入れ環境整備への本格的な支援が不可欠です。社労士としては、数字を上げること自体を目的とする政策ではなく、「雇用が続く仕組み」をどう作るのかという視点に立ち返る必要があると考えます。

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