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社会保険料「年2200円減」のインパクトは極めて小さい

厚生労働省は、高額療養費制度の見直しやOTC類似薬の追加負担導入により、公的医療保険の加入者1人当たりの社会保険料が年間約2200円軽減されるとの試算を示しました。内訳は、高額療養費制度の見直しで約1400円、OTC類似薬の見直しで約800円とされています。しかし、この数字は冷静に見れば極めて小さいものです。社会保険料は賃金の約15%前後が徴収される巨大な制度であり、会社負担分まで含めれば年間数十万円単位の負担となるケースも珍しくありません。その中で2200円の軽減というのは、月額にすると200円にも満たない水準です。制度改革として大きく報道されていますが、企業や被保険者の実感として「保険料が下がった」と感じられるような規模ではありません。むしろ制度の本質は保険料軽減ではなく、給付抑制であると見るべきでしょう。

高額療養費制度は「保険料減」より患者負担増が本質

今回の見直しの中心は、高額療養費制度の自己負担上限の引き上げです。将来的には最大で約38%上昇するケースも想定されています。これは、重い病気や長期治療を受ける患者にとって、実質的な自己負担増となる可能性があります。政府は「年間上限の新設により負担が下がる人もいる」と説明していますが、負担が増える患者が存在すること自体は認めています。しかも、どれくらいの人数が影響を受けるのかについては「一概に言えない」とされており、制度改正の影響が十分に示されているとは言い難い状況です。本来、高額療養費制度は医療費が高額になった場合でも生活が破綻しないよう設けられたセーフティーネットです。その制度の上限を引き上げるということは、結果として重病患者ほど負担が増える可能性を意味します。保険料をわずかに下げるために、重い病気の人の負担を増やすという構図になっていないか、慎重な検証が必要です。

OTC類似薬の追加負担は「給付削減」の典型例

もう一つの柱が、OTC類似薬への追加負担です。市販薬と効能が似ている薬について、処方薬であっても薬剤費の25%を「特別料金」として患者に負担させる制度が検討されています。対象となる薬は約1100品目とされており、解熱鎮痛剤のロキソニンや花粉症治療薬のアレグラなど、日常的に処方される薬も含まれる可能性があります。つまり、医療機関で処方されても「市販薬で代替できる」と判断されれば自己負担が増える仕組みです。確かに、医療費の適正化という観点からは一定の合理性があります。しかし、この制度も結局は患者の自己負担を増やすことで保険給付を減らす仕組みです。その結果として社会保険料が年間400円程度下がるという説明ですが、負担増の影響を受ける患者にとっては決して軽い問題ではありません。

社会保険制度は「広く薄く負担し、必要なときに支える」という考え方で成り立っています。今回の制度見直しは、その原則を大きく変えるものではないにせよ、給付削減によって制度を維持しようとする流れが一層強まっていることは間違いありません。今後は、単に保険料の増減だけでなく、「誰の負担が増え、誰が守られる制度なのか」という視点で議論を深める必要があるでしょう。

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