国保保険料の軽減措置「高校生年代まで」に拡大、厚労省検討…子育て世帯の負担軽減狙う(読売新聞オンライン) – Yahoo!ニュース
はじめに
国民健康保険(国保)に加入している子育て世帯にとって、毎年の保険料負担は大きな悩みの一つです。特に国保は、会社員が加入する社会保険(協会けんぽ・健保組合)と異なり、子どもの人数によって保険料が増える「均等割」が存在するため多子世帯ほど重い負担を抱えてきました。厚生労働省は、この均等割の負担を軽減するために、現在は「未就学児」を対象とした軽減措置を設けていますが、2024年11月の報道により、この軽減を「高校生年代まで」に拡大する方向で検討が進んでいることが明らかになりました。早ければ 2027年4月の実施 を目指すとしています。
本記事では、今回の新しい方向性を紹介するとともに、従来からある国保保険料の軽減制度についても整理し、制度全体をわかりやすく解説します。
高校生年代まで軽減拡大の概要|均等割の半額軽減が100万人以上に拡大
厚生労働省が検討しているのは、現在「未就学児」を対象としている均等割の一部公費負担(半額軽減)を、高校生年代(7~18歳)まで広げるというものです。国民健康保険に加入している未就学児は約50万人ですが、7~18歳は約130万人にのぼります。今回の拡大により、新たに100万人超が軽減対象となる見込みで、子育て世帯の保険料負担は相当程度軽くなると考えられています。均等割は年齢に関わらず発生するため、18歳の子どもが2人いる世帯では、それだけで均等割が2人分加算されていました。軽減拡大は、多子世帯の生活を直接支える政策になります。公費負担は現行の約80億円から、250億円前後へ増える見込みとされ、国・自治体が財源を負担する形で調整が進められています。
そもそも国保保険料はどう決まるの
国保保険料は 「均等割」+「所得割」+「平等割(自治体により)」+「資産割(自治体により)」 の組み合わせで構成されます。このうち子育て世帯の負担が特に重くなりやすいのは、人数が増えるほど必ず加算される「均等割」です。たとえば子ども3人の世帯では、大人2名+子ども3名=5人分の均等割が発生するため、多子世帯の負担が突出しやすい構造でした。この不公平感の是正策として、2022年4月から未就学児の均等割を半額にする制度が開始され、今回さらに対象が高校生年代まで広がる見通しです。
従来の国保保険料の軽減制度|3つの柱を詳しく解説
国民健康保険には、もともと次の3つの軽減制度が存在します。報道された「高校生までの拡大」は、このうち②に該当します。
【法定軽減】低所得世帯向けの軽減(最大7割)
最も広く知られている軽減が、低所得世帯向けの「均等割・平等割の軽減」です。所得に応じて最大7割・5割・2割と段階的に軽減され、全国一律の制度として運用されています。この軽減は自動的に判定されるのではなく、世帯主の前年所得を基準に計算され、自治体ごとに具体的な金額が決まります。
特に年金生活者の世帯、シングル家庭、自営業の低所得層などで利用されています。
【均等割軽減】子育て世帯向けの未就学児軽減(高校生年代まで拡大へ)
2022年4月の法改正で導入された制度で、未就学児の均等割の半額を公費(国と自治体)で負担するという仕組みです。この制度により、子ども一人あたり年間数万円の負担減が見込まれ、多子世帯の国保加入者の長年の課題が大きく改善されました。今回の検討では、これを高校生年代までに広げることで、さらに大きな効果が期待されています。
【特例的な減免制度】失業・出産・災害など
自治体ごとに運用される特例減免で、失業(特定受給資格者・特定理由離職者)や出産、災害(火災や風水害)により保険料の支払いが困難になった場合に適用されます。特に失業者に対する所得割の特例軽減はよく利用される制度で、離職前の給与所得の3割相当だけを前年所得として扱うため、保険料が大幅に下がります。自治体によって対象条件や軽減額が異なるため、実際に適用できるかどうかは住んでいる市区町村で確認する必要があります。
軽減措置の拡大で子育て世帯はどう変わる
高校生年代まで軽減が広がると、世帯ごとの負担軽減額は自治体によって異なるものの、子どもの人数が多いほど効果は大きいと予想されます。たとえば「未就学児1人+中学生2人」の3人兄弟の家庭では、現行では未就学児の軽減だけ適用されますが、拡大後は3人全員が対象となり、均等割の負担が大幅に下がります。国保は「人数が多いほど高い」という構造上、他の医療保険制度と比べても子育て世帯の負担が重くなりやすい制度です。そのため今回の拡大は、制度そのものの公平性の観点からも大きな前進といえます。
自治体によって軽減額が異なる理由
国保保険料は全国統一の制度ではあるものの、具体的な保険料額は市区町村で決定します。同じ所得・同じ家族構成でも、保険料が数万円単位で違うことは珍しくありません。そのため、今回の軽減拡大がどれほど家計に影響するかは、最終的にはお住まいの自治体の国保担当窓口での確認が必要になります。自治体の財政状況、医療費水準、加入者の年齢構成などによって保険料が変動するため、全国一律の軽減額を示すことはできません。
まとめ|高校生までの軽減拡大は、子育て世帯の実質的な負担軽減へ
今回の軽減拡大案は、2027年の実施を視野に入れた大きな制度改革です。国民健康保険は人数課金で保険料が増える仕組みのため、子育て世帯にとっては負担が重く、長年の課題でした。未就学児に限られていた軽減措置を高校生まで広げることは、「子育て世帯の生活を支える実質的な支援」として重要であり、負担の公平性の観点からも評価される内容です。制度は自治体ごとに細部が異なるため、実際にどれほど保険料が下がるかを知りたい場合は、住んでいる市区町村の国保窓口で確認するのが確実です。



