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【社労士が解説】宮城県の週休3日制に違和感―中小零細企業の現実を理解していない改革ではないか

宮城県が「週休3日制」導入へ 東北で初、来年度にも 柔軟な働き方で人材確保狙う – 産経ニュース

宮城県が、早ければ来年度から全職員を対象に「週休3日制」を導入する方針を示しました。人材確保と離職防止を目的とし、柔軟な働き方を進めるとしています。東北では初の取り組みとされ、知事は他の自治体や民間への波及にも期待を示しています。日頃から中小企業の労務相談を受けている社労士の立場から見ると、この発表には率直に言って違和感を覚えます。

「週休3日制」と呼ばれる制度の実態

今回の制度は、労働時間を減らすものではありません。4日間で1週間分の所定労働時間を働き切ることで、結果として休日を1日増やす仕組みです。言い換えれば、労働時間を別の日に寄せ集める制度であり、仕事量そのものが減るわけではありません。「週休3日」という言葉の響きだけで評価してしまうと、実態とのギャップが生まれます。

民間では週4日で仕事が終わらないという現実

民間企業、とりわけ中小零細企業では、週4日で仕事が完結するような業務設計になっていないケースが大半です。慢性的な人手不足の中で、1人が複数の業務を担い、現場は常に余裕のない状態で回っています。休みを増やしたくても、業務量が変わらなければ、現実には対応できません。ここに、行政と民間の大きな前提条件の違いがあります。

休日出勤が増え、労働時間が伸びるリスク

週4日で業務が終わらなければ、結果として休日出勤に頼らざるを得なくなります。名目上は週休3日であっても、実態としては平日に終わらなかった仕事を休日に回すことになり、労働時間はむしろ増えてしまう可能性があります。特に人員に余裕のない中小零細企業ほど、このリスクは現実的です。

公務員だから成立する制度が生む違和感

今回の制度が成り立つのは、業務の標準化や人員配置が比較的安定している公務員組織だからこそです。民間では、業務の属人化や人手不足により、同じ前提で制度を運用することは困難です。この違いを十分に説明しないまま制度だけが発信されると、「中小企業の現状を理解していない改革」と受け取られても不思議ではありません。

人材確保策が民間に与える影響

行政も民間も、同じ地域で同じ人材を取り合っています。休みが多く、制度が整っているというイメージが強まれば、安定志向の人材ほど公務員に流れやすくなります。その結果、中小零細企業はさらに人材確保が難しくなり、地域経済全体の体力が削がれていく可能性があります。

働き方改革に必要なのは現実への目配り

働き方改革そのものを否定する必要はありません。しかし、民間、とりわけ中小零細企業では実現が難しい制度を先行事例として打ち出すのであれば、その影響にも配慮が必要です。休みの数を増やす議論よりも、仕事の総量をどう減らすのか、そして行政がどこまで民間の現実を理解し、共有できているのか。そこに目を向けなければ、改革は形だけのものに終わってしまいます。

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