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経団連・筒井会長「賃上げ定着」発言に、社労士として伝えたい中小企業のリアル

「賃上げを定着させる」というニュースが現場でどう受け止められているか

経団連・筒井会長 外国人政策、データに基づき方向性を 賃上げへ先導役果たす 2026年駆ける(産経新聞) – Yahoo!ニュース

日本経済団体連合会の筒井義信会長は、外国人政策はデータとエビデンスに基づくべきだと述べるとともに、2026年春闘では賃上げの定着に向け、経団連が先導役を果たす考えを示しました。この発言は、「賃上げ」「2026年」「経団連」という検索軸でも注目度が高く、ニュースとしての影響力は非常に大きいものです。ただ、社労士として中小企業の相談を日々受けている立場から見ると、このニュースが現場でそのまま希望として受け止められているかというと、正直なところ違うように感じます。

社労士が見ている中小企業は「生産性が低い」のではない

中小企業について語られるとき、「賃上げできないのは生産性が低いからだ」という説明がよく使われます。しかし、この整理は現場の実態と大きくずれています。実際の中小企業は、時間を余らせているどころか、使える時間をすべて使い切っています。人手不足の中で、経営者も従業員も現場に立ち、業務を回し、誰かが欠ければ別の誰かが穴を埋める。改善や工夫を重ね、無駄を削り続けた結果、すでに限界に近い状態で回っている企業がほとんどです。生産性が低いのではありません。生産性をさらに引き上げるための余白が、もう残っていないのです。

「努力していない前提」で進む賃上げ議論への違和感

「生産性を上げてから賃上げを」という言葉は、一見もっともらしく聞こえます。しかし中小企業の現場では、この言葉が非常に重く、時に冷たく響きます。なぜなら、すでに時間も労力も工夫も出し切っているからです。それでも賃上げ原資が生まれないのは、努力不足ではなく、価格転嫁が進まない仕組みに原因があるように感じます。中小零細企業に伴走している社労士として見ている限り、「賃上げできない企業は努力していない企業」という構図は、現実とはまったく一致しません。

2026年、賃上げニュースの裏で静かに進む中小企業の限界

2026年は、物流コストの上昇なども重なり、中小企業にとってさらに厳しい年になります。この状況で「賃上げの定着」だけが強調されれば、現場では「また置いていかれる」という感覚が強まります。賃上げを否定しているのではありません。賃上げを実現するための前提条件が整っていないまま、理想だけが先行していることに、強い危機感を覚えています。

【結論】賃上げ発言を「現実の希望」に変えるために必要な視点

社労士として伝えたいのは、次の一点です。中小企業は、生産性が低いのではありません。もう十分すぎるほど努力しているのです。2026年に賃上げを本当に定着させたいのであれば、その努力が報われる構造を、サプライチェーン全体で作ること。価格転嫁が当然とされる空気を、大企業が率先して示すこと。そして、現場を知らない言葉で中小企業を評価しないこと。経団連・筒井会長の発言が、スローガンで終わるのか、現場に届く言葉になるのか。その分かれ目は、「中小企業はもう十分やっている」という事実を、社会全体が直視できるかどうかにかかっていると考えます。なんでもかんでも企業に責任を転嫁するのはいかがなものなんでしょうかねと思います。

仙台・東京虎ノ門の社労士事務所 社会保険労務士法人ブレインズ

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