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中小企業の賃上げを後押しする改正下請法が今月施行

中小企業の賃上げ実現に向け、改正下請法が年明け1月1日施行 発注元に価格交渉を義務化 – 産経ニュース

「価格交渉の義務化」は何を変えるのか

中小企業の賃上げを後押しする改正下請法(正式名称:中小受託取引適正化法、いわゆる「取適法」)が、今月施行されます。今回の改正は、形式的な名称変更にとどまらず、価格交渉を“義務”として位置づけた点に最大の特徴があります。原材料費・エネルギー価格・人件費の上昇を取引価格に反映させ、サプライチェーン全体での価格転嫁を進める狙いです。


「下請」という言葉が消えた理由

今回の改正では、法律名から「下請」が削除されました。受注側は「下請事業者」から中小受託事業者へ、発注側は「親事業者」から委託事業者へと呼称が変更されます。これは単なる言い換えではありません。長年続いてきた主従関係を前提とした取引意識を是正し、対等な取引関係を制度の前提に据えるという明確な意思表示です。


最大のポイントは価格交渉の「義務化」

改正法の核心は、委託事業者(発注側)に価格交渉を行うことを義務付けた点です。これまで多くの現場では、「価格は据え置き」「他社も同条件」といった一方的な提示が常態化していました。今後は、交渉の場を設けずに価格を決めること自体が問題となります。重要なのは、「必ず値上げしなければならない」という話ではないこと。合理的な根拠に基づく協議を行うことが求められるという点です。


適用要件の見直しで抜け道を防止

従来の下請法は、資本金基準が中心だったため、減資・増資による適用逃れが指摘されてきました。改正後は、以下の従業員数という実態基準が追加されます。

  • 製造業など:従業員300人超 → 300人以下への発注
  • サービス業:従業員100人超 → 100人以下への発注

「努力論」から「構造論」へ

中小企業で賃上げが進まない理由は、決して努力不足ではありません。多くの企業は限られた人員で最大限の工夫をしています。問題は、コスト増を価格に転嫁できない取引構造でした。今回の改正は、賃上げを個々の企業努力に委ねるのではなく、取引構造そのものを是正することで原資を生み出す方向へ舵を切った点に意義があります。


社労士の視点から一言

この改正は、「今すぐ中小企業が楽になる制度」ではありませんが、「価格交渉をしてよい」から「価格交渉をしなければならない」へと、空気を変える力を持っていると思います。賃上げを実現するためには、労務管理の工夫だけでなく、取引条件の見直しが不可欠です。今月の施行をきっかけに、自社の取引関係を一度棚卸ししてみることは、これからの経営にとって大きな意味を持つはずです。

この改正を、ぜひ現場で活かしていきたいところですね。

仙台・東京虎ノ門の社労士 社会保険労務士法人ブレインズ

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