
維新地方議員4人が関与した「国保逃れ」とは何だったのか
維新の地方議員4人が、一般社団法人の役員に就任し、議員報酬よりも著しく低い役員報酬を基準に社会保険料を負担していた問題について、党の中間報告は「国保逃れの脱法的行為」と明確に評価しました。社会保険改革を掲げる政党の所属議員が、自らは制度の抜け道を使って負担を軽くしていたという点に、国民の強い反発が集まっています。この問題の本質は、「法律に明確に違反しているかどうか」ではありません。制度の趣旨に反し、形式だけを整えて負担を免れる行為が、社会的に許容されるのかという点にあります。党自身が「国民の納得感は得られない」と結論づけたことが、その重さを物語っていると感じます。
なぜこの問題はフリーランスにも無関係ではないのか
このニュースを「政治家の不祥事」として切り離して考えるのは危険です。現在、フリーランスや個人事業主に向けて、社会保険料が大幅に下がるとうたうサービスが数多く存在しています。表現や売り方は異なっても、保険料が下がる仕組みの中身を見ると、今回問題となった構造と驚くほど似ています。共通しているのは、実際の事業収入とは切り離された「名目上の低い報酬」を社会保険料の計算基準にする点です。制度の形式を利用して負担を下げるという考え方そのものが、今回の国保逃れ問題と地続きになっています。
社会保険料が安くなる仕組みの実態
こうしたスキームでは、一般社団法人などに形式的に関与し、そこから受け取る役員報酬を極めて低額に設定します。社会保険料は、実際の生活水準や事業所得ではなく、届け出られた報酬額を基準に計算されるため、表向きの報酬が低ければ保険料も低くなります。その結果、実際には年収が数百万円あっても、制度上は「月数万円の報酬で働く人」として扱われ、保険料が大幅に下がることになります。今回の維新議員のケースも、本質的にはこの仕組みと同じ構造でした。
「違法ではない」と説明されることの落とし穴
多くの場合、こうした仕組みは「現時点で違法ではない」「手続きは通っている」と説明されます。しかし、社会保険制度は形式だけで完結するものではありません。実態を伴わない役員就任や、業務内容に見合わない不自然な報酬設定は、後から問題視される可能性を常に内包しています。今回の中間報告が示したのは、まさにその点です。条文上グレーであっても、社会的な評価として「脱法的」と断じられることがある。その判断は、世論や制度運用の変化によって、より厳しくなっていく可能性があります。
フリーランスが直面する本当のリスク
フリーランスにとって怖いのは、加入時点では問題なく見えても、後になって説明責任を問われることです。なぜその法人に関与しているのか、なぜその報酬水準なのか、実態として何をしているのか。これらを第三者に説明できなければ、制度上だけでなく、信用の面でもリスクを抱えることになります。社会保険は、単なるコストではありません。取引先や金融機関、家族から見たときの「事業者としての信頼」にも直結する制度です。短期的な削減効果だけで判断すると、後から取り返しのつかない不利益を被る可能性があります。
社労士の視点から見た結論
今回の「国保逃れ」問題は、うまい話ほど立ち止まって考える必要があることを強く示しました。制度の抜け道を使って負担を下げる行為は、一時的には得に見えても、長期的には自分自身の立場を不安定にします。本当に検討すべきなのは、制度の趣旨に沿った正攻法の設計です。事業の成長段階に応じた法人化の検討や、報酬設計、将来の保障を見据えた制度選択など、時間はかかっても説明可能で持続可能な方法は存在します。今回のニュースは、社会保険料削減を考えるすべての人にとっての警鐘です。
「安くなる理由」を理解し、それを人に説明できるかが判断基準になると考えるべきです。



