loader image

最新情報

医療機関の倒産・休廃業が過去最多に

医療機関の倒産、休廃業・解散 2年連続で過去最多を更新 (帝国データバンク) – Yahoo!ニュース

2025年、医療機関の倒産と休廃業・解散がいずれも過去最多となりました。医療は公共性が高く、簡単に撤退できない業界ですが、それでも経営が行き詰まる医療機関が増えています。これは「経営努力が足りないから」ではなく、物価高や賃上げ、人材確保難、設備維持負担といった複数の要因が同時に押し寄せ、現場の努力だけでは吸収しきれない局面に入っていることを示しています。こうした状況の中で2026年度の診療報酬改定が予定されており、改定の方向性が医療機関の持続可能性にどう影響するかが注目されています。


現場が踏ん張った末の限界が見えてきた

2025年の医療機関(病院・診療所・歯科医院)の倒産は66件となり、過去最多を更新しました。病院、診療所、歯科医院のいずれも高い水準となっている点からも、特定の分野だけの問題ではなく、医療提供体制全体が厳しい環境にあることが分かります。倒産の主因は「収入の減少」が中心とされており、ここには医療機関が手を抜いたというより、診療を守りながら運営してきた結果として、資金繰りや支出の増加に耐えられなくなった現実が表れているように思います。医療機関は「採算が合わないのでサービスを縮小します」と簡単に言える立場ではありません。患者さんを診続ける責任があり、職員の生活も抱えています。その責任感のもとでぎりぎりまで耐え続け、最後の最後で倒産という形になってしまうケースが増えていると考えると、数字の重みが違って見えてくるのではないでしょうか。


休廃業・解散823件は静かな撤退で地域医療への影響が大きい

倒産以上に深刻なのが、2025年の休廃業・解散が823件に達した点です。倒産は法的整理として表面化しますが、休廃業・解散は「閉院」という形で静かに進み、地域の患者さんや家族が気づいた時には、受診先が減っているという事態になりやすい特徴があります。つまり、地域医療の基盤は倒産よりも休廃業・解散によって目に見えない速度で削られていきます。背景として大きいのは、診療所の経営者の高齢化と後継者不足です。経営上の工夫で多少踏ん張れたとしても、医師自身の年齢や体力、今後の制度対応への負担を考えた時に「自分の代で終える」という判断が現実的になってしまいます。これを単純に自己責任と切り捨てるのではなく、医療が地域で継続するために何が必要なのか、社会全体の課題として見ていく必要があると思います。


物価高と賃上げで努力だけでは吸収できない負担が積み上がっている

医療機関の経営を圧迫しているのは、人件費だけではありません。医療機器や消耗品、メンテナンス費、給食費、光熱費といったコストが全方位で上昇し続けています。さらに人材不足が続く中で、採用コストの増加や賃上げ対応も避けられず、医療現場の負担は確実に重くなっています。一方で医療機関の収入は診療報酬に大きく依存しており、一般企業のように自由に値上げしてコスト増を吸収することが難しい構造があります。このため「収入は大きく増えないのに、支出だけが増える」という状況になりやすく、日々の診療を守りながらも経営が苦しくなる医療機関が増えていきます。現場の効率化や工夫には限界があり、努力だけでは耐えきれない段階に入っているという現実を、まず正面から受け止める必要があると考えます。


2026年度診療報酬改定は現場に届く形になるかが焦点

2026年度には診療報酬改定が予定されており、物価高や賃上げへの対応として本体部分の引き上げが示されています。これは医療機関にとって、少なくとも「まったく手当てがない」状況から前に進む可能性を持つ点で、希望として受け止められる部分があります。ただし重要なのは改定率の数字そのものよりも、どの領域が評価され、どの行為に点数がつくのかという改定の中身です。診療報酬の多くは出来高払いであるため、改定内容次第で医療機関ごとの収益改善には大きな差が出ます。体制整備や人員配置を進められる医療機関ほど評価を得やすい一方、苦しいからこそ整備が難しい医療機関が取り残される可能性もあります。だからこそ改定は、全体を救うチャンスであると同時に、支援が届く範囲を狭めてしまうリスクも含んでいます。2025年の倒産・休廃業の増加は、医療機関が怠慢だったから起きたのではなく、現場が地域医療を守ろうと踏ん張った末に起きた現象のように思っています。2026年度改定が、医療機関が無理を重ねることで支える仕組みではなく、持続可能な形で地域医療を維持できる方向へ進むことを期待したいところですね。

タイトルとURLをコピーしました