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社会保険料が賃上げを殺す構造

昨今、賃上げが続いているにもかかわらず、「生活が楽になった実感がない」という声はむしろ強まっています。この違和感の正体は実は明確で、原因は賃金の問題ではなく「社会保険料の設計」にあります。「支給額が増えればその分だけ負担も増える仕組み」が、結果として手取りを押し下げているのです。企業は頑張って賃上げを行い、統計上の平均月給は上昇するが、その裏側で健康保険料や厚生年金保険料は確実に引き上げられます。しかもこれは定率ではなく、標準報酬月額という階段構造によって決まるため、一定のラインを超えた瞬間に一気に負担が増えるケースも珍しくありません。現場では「数千円の昇給で手取りが逆に減った」という現象が現実に起きています。

見えない増税としての社会保険料

社会保険料は税金ではありません。しかし、労働者の感覚としては完全に「可処分所得を削る負担」です。しかも税金と異なり、議論の俎上に上がりにくいという性質があります。例えば、賃上げによって標準報酬月額が一等級上がれば、健康保険・厚生年金の双方で負担が増えます。さらに企業側も同額を負担しているため、人件費は賃上げ額以上に増加します。結果として企業は賃上げに慎重になり、従業員は手取りが増えない。この構造は労使双方にとって極めて問題があるように考えます。加えて、今後は子ども・子育て支援金の徴収も予定されており、社会保険料という枠組みの中で実質的な負担増が続いていきます。つまり、「賃上げしても報われない構造」は制度として増々強化されているのです。

賃上げ政策の限界

現在の賃上げ政策は、「額面を上げれば経済は良くなる」という前提に立っています。しかし、社会保険料という見えない控除を無視した議論は、現場では機能しません。むしろ、賃上げすればするほど手取りの伸びが鈍化するという逆転現象すら生じています。賃上げは必要ですが、それだけでは不十分です。社会保険料という構造を無視したままでは、どれだけ賃金を上げても「生活が楽になる」という実感にはつながらないでしょう。数字は上がっているが生活は楽になっていない。この現実を直視しない限り賃上げは「評価されない投資」になるように思います。

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