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「固定残業代」のせいで残業をしても残業代がなかなか出ません

ファイナンシャルフィールドの記事より

「固定残業代」のせいで残業をしても残業代がなかなか出ません。どうすればいいですか? (msn.com)

ファイナンシャルフィールドの記事は毎度内容が薄すぎます(そもそも固定残業代について実務経験のない行政書士が記事を書いている)ので、専門家であり実務経験もある社会保険労務士が説明します。

固定残業代の導入

固定残業代を導入する際に、法定休日割増と深夜割増も含める場合は以下のような手順を考えなければなりません。まずは通常の労働時間で得られる賃金と、法定休日割増(1.35以上)、深夜割増(0.25以上)、時間外割増(1.25以上)、そして60時間超割増(1.5以上)の労働時間に対する割増賃金額を明確に区別できるようにする必要があります。

割増賃金は、通常の賃金(基本給+諸手当)を1ヶ月の平均所定労働時間数で除した金額に、割増率を乗じた金額を割増基準単価として、これに実際の時間外労働時間数等を乗じて算出します。時間外労働の割増率、法定休日、深夜割増率は重複して発生することがあります。例えば、時間外労働が深夜業となった場合、合計5割以上(2割5分+2割5分)の割増賃金を支払う必要がありますし、法定休日労働が深夜業となった場合は6割以上(3割5分+2割5分)の割増賃金を支払う必要があります。

固定残業代は、割増基準単価にあらかじめ設定した時間外労働時間数等を乗じて、手当額を定めますが、より厳密に運用するのであれば、法定休日割増(1.35以上)、深夜割増(0.25以上)、時間外割増(1.25以上)、そして60時間超割増(1.5以上)を区別して明示して下さい。もちろんそれぞれの割増金額を超過した部分については別途計算して支払わなければなりません。

このように「固定残業代」を導入すると、実は時間外管理が複雑になるというデメリットがあります。反対に「残業をしなくても残業代が出る」というメリットもありますので、制度導入の際には、就業規則(賃金規程)などでしっかり周知しての運用をして下さい。

ちなみに記事には問題が発生した場合は労働局に相談とありますが、労働局ではなく労働基準監督署へ相談して下さい。

労務に関することは専門家の社会保険労務士までご相談することをお勧めします。

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