
高年齢者雇用を単なる「努力義務への対応」にとどめず、企業の競争力や組織力の源泉として本気で取り組んでいる企業にとって、見逃せない募集が始まっています。厚生労働省と高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)の共催による「令和8年度 高年齢者活躍企業コンテスト」です。本コンテストは、高年齢者がいきいきと働き続けられる職場づくりに関する創意工夫の事例を社会に広く共有し、生涯現役社会の実現に向けた気運を高めることを目的としています。優秀な取組については、令和8年10月に表彰が予定されています。
評価されるのは「制度」だけではありません
今回のコンテストで問われるのは、単に定年年齢を延ばしているかどうかではありません。定年制の廃止や65歳超の継続雇用、70歳までの創業支援等措置といった制度整備は前提条件に近く、それをどのように運用し、現場で機能させているかが重視されます。賃金制度や人事評価制度を年齢基準から切り離し、役割や貢献度を軸に再設計しているか。短時間勤務や多様な働き方を、高年齢者本人の希望や体力、能力に即して実装できているか。こうした「設計」と「現場」の一致が、評価の本質になります。
高年齢者の経験を“組織の力”に変えられているか
高年齢者活躍の本質は、雇用を延ばすことではなく、価値を活かすことです。長年培ってきた経験や判断力、技能を、組織全体の知として循環させられているかが問われます。リスキリングやキャリアの棚卸しを通じて役割を再定義し、技術指導者やメンターとして若手や外国人材と協働できている企業。
DXやIT化を進める際にも、高年齢者を排除せず、適応できる設計をしている企業。こうした取組は、人材不足時代における現実的かつ先進的な経営戦略として高く評価されます。
作業環境・健康管理・安全配慮は「姿勢」が問われます
高年齢者が長く働き続けるためには、個人の努力に依存しない職場設計が不可欠です。設備や作業姿勢の改善、業務負荷の調整、休憩環境の整備は、福利厚生ではなく経営管理そのものです。健康管理やメンタルヘルス対策、安全衛生体制の整備、生涯設計に関する相談機会の提供などを通じて、「高齢化を前提にした職場」を本気で構築しているかどうかが、総合的に審査されます。
該当する企業には「是非挑戦してほしい」制度です
このコンテストは、「完璧な制度」を持つ企業だけのものではありません。高年齢者雇用に本気で向き合い、試行錯誤を重ね、現場で改善を積み上げてきた企業こそ、挑戦する価値があります。日々当たり前に行っている取組が、実は全国的にも先進的であることに、応募を通じて初めて気づくケースも少なくありません。応募書類を作成する過程自体が、自社の制度や運用を客観的に見直す機会となり、今後の人事・労務戦略の指針にもなります。「うちは特別なことはしていない」と感じている企業ほど、一度立ち止まって振り返ってみてください。高年齢者が戦力として、誇りをもって働き続けているのであれば、それは十分に社会に発信する価値のある取組です。
募集締切は令和8年2月27日(当日消印有効)
高年齢者雇用を「守り」ではなく「攻め」の経営戦略として位置づけている企業にとって、本コンテストは自社の姿勢を社会に示す絶好の機会です。該当する企業様には、ぜひ前向きに挑戦していただきたい制度です。
まとめ
社労士の立場から見ると、高年齢者雇用は「定年を延ばせば足りる」という話ではありません。評価されるのは、就業規則や賃金制度、人事評価が実態に合っており、高年齢者が役割と責任を持って無理なく働ける仕組みになっているかどうかです。制度と運用がずれていると、活躍どころかトラブルやリスクを招きかねません。高年齢者が経験や技能を発揮できる職場は、人材不足時代の大きな強みになります。そのためには、高年齢者雇用を前提とした労務管理と就業規則の整備が不可欠です。高年齢者の労務管理や就業規則の見直し、コンテスト応募に向けた制度点検については、社会保険労務士法人ブレインズにお任せください。制度設計から実務運用まで、社労士として実践的に支援します。



