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「役職定年制廃止」加速

定年制を考える

役職定年制度の現状と今後について

役職定年制度は、社員が一定の年齢(多くの場合55歳)に達すると役職を外れる制度です。導入の背景には、若手社員に役職を譲り組織の新陳代謝を図ることや、年功序列による給与負担を軽減する目的があり、1980年代に広まりました。役職定年を迎えた社員は役職手当を失い、給与が減少するほか、配置転換や業務内容の変更を伴う場合があります。しかし、2023年の調査では、役職定年制度を導入している企業は全体の16.7%にとどまり、2007年の23.8%から大きく減少しています。特に中小企業では導入割合が低く、厚生労働省の調査でも、役職定年制を廃止した企業や見直しを行った企業が増えていることが示されています。この背景には少子高齢化や長期雇用を前提とした社会の変化があります。

少子高齢化により若手社員の採用が困難になる中、役職を年齢で区切る合理性が薄れています。また、成果主義や能力主義が浸透しつつあり、年齢ではなく能力や実績で役職を任せる仕組みが求められています。さらに、70歳までの就業機会確保が推奨される中で、55歳で役職を外すことは現実的ではないと考えられます。こうした社会の変化を受けて、役職定年制度を廃止した企業では、同時に人事評価制度を見直し、柔軟な評価基準を導入する例が増えています。一方で、役職定年制がシニア社員のやりがいや給与に与える影響は大きく、転職を考えるきっかけになることもあります。役職定年を機に給与が減少し、これまでの仕事と異なる業務に戸惑いや無気力感を抱く社員も少なくありません。特に転職が難しくなる55歳を迎える前に、新たなキャリアを模索し始める人も多いようです。その結果、役職定年制のない企業や定年そのものが長い企業が転職先として注目されています。

今後、役職定年制度の意味はさらに薄れると考えられます。少子高齢化と働き続ける年齢の上昇に伴い、55歳で役職を外す合理性がなくなりつつあること、また、雇用の流動化が進む中で、制度を活用して退職を促す必要が薄れたことが理由です。しかし、役職定年という区切りがなくなることで、シニア社員がキャリアを振り返る機会を失い、準備不足のままシニア転職に突入するリスクも指摘されています。これからの社会では、役職定年制度の有無にかかわらず、長期的なキャリア設計と計画的な準備が重要になります。また、企業側も、年齢や制度に縛られず、成果や能力を正当に評価する仕組みを整えることが求められるでしょう。役職定年制が減少していく中で、社員一人ひとりがモチベーションを保ちながら働き続けられる環境づくりが、企業の持続的成長の鍵となるはずです。

アメリカの定年制

アメリカには日本のような法的に定められた定年制度は存在せず、企業が従業員の雇用継続を判断する際は主にパフォーマンスや業務の必要性に基づいています。この背景には、アメリカ特有の「雇用随意制(Employment at Will)」という雇用慣行があり、企業と従業員のどちらも理由を問わず雇用契約を終了できるという柔軟な仕組みがあります。これにより、年齢を理由とする退職の強制が認められないのが特徴です。また、アメリカでは1967年に制定された「年齢差別禁止法(ADEA)」により、40歳以上の労働者が年齢を理由に不当な扱いを受けることを禁じています。この法律の影響で、強制的な定年退職制度を設けることが基本的に違法とされています。ただし、裁判官やパイロットなど、一部の職種では例外的に定年が設定されています。

アメリカの労働市場は成果主義が徹底されており、年齢ではなく能力や実績が評価基準となります。そのため、高齢者でも能力を発揮すれば重要な役職に就いたり、働き続けたりすることが可能です。このような柔軟な雇用環境のため、70歳以上になっても働き続ける人が少なくありません。2023年の統計では、65歳以上の約20%が就業しており、この割合は増加傾向にあります。これは、柔軟な働き方が可能であることや、医療費や生活費のために収入を得る必要がある人が多いことが要因です。

アメリカ企業の多くは、定年制度の代わりに「退職支援プログラム」や「確定拠出型年金(401(k))」などの仕組みを整え、従業員が計画的に退職後の生活を準備できるよう支援しています。また、再雇用制度やパートタイム勤務など、高齢者が無理のない形で働ける仕組みを導入する企業も増えています。さらに、成果主義が主流であるため、年齢に関係なくスキルや成果に応じて活躍の場を広げることが可能です。日本との大きな違いとして、アメリカでは一律の定年が存在しない一方、転職が一般的であることや終身雇用の文化がないことが挙げられます。これにより、労働者はキャリア選択の自由度が高い一方、年齢を基準とした雇用の安定性は日本より低いのが現状です。アメリカの高齢者雇用には、柔軟性という大きなメリットがある一方、競争が激しい職場環境や健康状態による格差が課題となっています。今後も高齢者が長く働ける社会が求められる中で、能力や健康に応じた公平な評価制度の整備が必要とされるでしょう。

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